福祉に関する資格の中でもとりわけ知名度が高いのがこの「介護福祉士」という名称です。
「介護福祉士」とは国家資格として毎年試験が行われているものの呼称ですが、これはすなわち職業として通じる名称というわけではありません。
同じく国家資格として実施されているものとして、「税理士」や「公認会計士」といった「士」がつくものも多くありますが、この介護福祉士やその他の福祉系国家資格はそれらとは種類が異なります。
国家資格として効力の強い資格として存在はするものの、それを所有しているからといって特別にその他の人にはできないような排他的な業務を行うことができるという性質はないのです。
排他的な業務ができない介護福祉士の業務は資格としての価値が薄いかというと決してそういうわけではありません。
介護福祉士の資格のためには、社会福祉に関する課程を実施している専門の教育機関での単位を修得するか、もしくはえ一定の学歴に加えて実務経験を積んでいなければ受験資格を得ることもできません。
資格試験においては介護と福祉に関する法的知識や実際の介護作業をするときに必要になる技術や知識などが求められるので、介護福祉士の資格を持っているということはそれだけで介護におけるプロフェショナルであるということの確実な証明になるのです。
介護福祉士は実際の仕事の現場においては、各老人ホーム内で直接介護の仕事を行ったり、福祉施設や障害者施設などで生活のための補助を行っていきます。
またそうした自律した生活を送ることが難しい人を家族に持つ人のために、相談に乗ったりアドバイスをしていきます。
その他にも介護を受ける人の普段の居住環境や家族構成などに配慮した、地域とのつながりを作っていくための方法を提案していったりします。
直接的、間接的に介護を受ける人に対してのケアをしていくというのが業務の内容と言うことができるでしょう。
介護福祉士の資格を持っていることで、より専門的に仕事をしていくことができる職場がいくつかあります。
介護福祉士の資格所有者が現在積極的に求められている業界は大きく3つあり、それぞれ「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着サービス」の現場となっています。
「居宅サービス」とは、いわゆる在宅介護を行うための企業・団体のことで、自宅で生活をしている要介護者に対して訪問をしながら必要な介護などを行っていきます。
「施設サービス」とは、老人ホームに代表される特定施設内での介護を行うものです。
居住型の老人ホームの他にも、デイサービスや老人保健施設といったところもこれに含まれます。
「地域密着サービス」としては、居宅サービスと施設サービスのちょうど中間にあたる施設形態で、グループホームや高齢者向けのシェアハウスなどがこれにあたります。
今後はより安全に高齢者が生活をしていくことができるための居宅形態として、介護福祉士の人材とともにニーズが増えていくことが予想されています。