福祉系の仕事の一つに点字通訳者があります。
普段の生活で、看板や標識、販売されている商品に小さなポツポツした突起がついていることがありますがそれらは点字という視覚障害がある人のための文字です。
視力障害がある人が文字を読むためには音声または点字に変換をする必要があることから、既存の文字や文章を通訳するための人が必要になります。
点字通訳者が担当をするのは出版されている書物や資料などで、その他にも地図や案内板などを必要に応じて変換することもあるでしょう。
人は外界からの情報を受容するとき、その9割を視覚から得られる情報に頼っているとされます。
そのため生まれつき目が見えない人や、糖尿病の合併症など後天的な要因により視覚が奪われてしまった人にとっては、外界からの情報をほとんど自力で得ることができなくなってしまうのです。
点字通訳者はそうした人に目が見えている時と同じように必要な情報を得られるように、できるだけ多くの文書を点字にしていく作業に従事していきます。
視覚障害を持つ人は高齢者人口とともに増加傾向にあることから、今後もより点字通訳者の活躍の場は広がっていくことが予想されます。
点字翻訳は非常にニーズが高い反面、なり手が少ないということが問題になっています。
これは点字翻訳ということが仕事として認知されておらず、ほとんどの翻訳作業をボランティア活動によって行っているということが関係しているでしょう。
仕事として行っている人もいますが収入面が安定しないこともあり、金銭面での利益を求めて点字翻訳をするということはできにくいのが現状です。
しかし社会的意義は非常に大きく、また人に感謝をされる仕事であるということは大きな業務のやりがいとなります。
点字は、通常の言葉として使用されるひらがなや漢字とは異なる体系となっています。
というのも現在世界的に用いられている点字はフランスのルイ・ブライユという人が1800年台に考案したものがもとになっているからです。
単純にひらがななどの文字を点字に置き換えすればよいという単純なものではなく、場合により使い分けをしながら表記をしていくという通訳能力が必要になってきます。
点字の基本的なしくみを理解するための資格として「点字技能検定」があります。
点字技能検定は社会福祉法人日本盲人社会福祉施設協議会および社会福祉法人日本盲人会連合によって主催されており、実際に点字資料作成に3年以上従事した人が取得可能です。
初心者がまず点字とは何かということから学びたいという場合は、「ビジネス点字検定」というものがあります。
ビジネス点字検定は、点字をこれから学ぶ人向けの資格としておすすめされていることから、そこで基本を学んだあとにボランティアなどで作業に参加をするという方法がとられます。