まずは高校卒業し、この職種の養成課程が設置された大学や短大、専門学校で3年以上学習し、定められたカリキュラムを修了して国家試験に合格すれば言語聴覚士と名乗ることが出来ます。
病院の現場ではSTの略称で呼ばれる言語聴覚士という名称はなじみの無い方もいらっしゃるでしょうが、病院におけるリハビリの一翼を担う職種で、各種疾病を原因とする言語の障害の回復訓練を行ったり、嚥下(食事や飲み物の飲み込み)のトレーニングを行ったりします。
リハビリ部門では、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)とともに、一体となってリハビリに当たるのです。
リハビリと言えば歩行など身体面での訓練を思い浮かべる方が多いと思いますが、言語聴覚士が担う嚥下の業務は命を繋ぐ食に直結します。
近年よく言われる誤嚥による肺炎発症による高齢者の死亡など特に慎重に行うべきリハビリなのです。
このSTの養成校の数は、高齢化や嚥下に関するリハビリの重要性の認識の高まりにつれ、増え続けており現在では全国各地にできました。
養成校でも、4年制の大学と専門学校では科目の内容や学生時代の過ごし方はずいぶん差がありますので、進学に当たってはどういう勉強方法を選択するか考えて進学しないと入学後の学習意欲に大きく影響してしまいます。
なお、別途ルートとして、一般の4年制大学を修了後に、指定の大学あるいは大学院の専攻科や養成所で2年以上学習するルートでも受験資格が得られます。
大学などの養成校を修了して国家試験の受験資格が与えられれば、次は国家試験合格を目指します。
国家試験の内容は広範で専門的なので、簡単な問題ではありません。
十分に受験のための勉強ができていないと不合格になる恐れは十分にあるのです。
折角、専門の学校に通って受験資格を得たのちに試験に不合格では、無駄になってしまいますので、気を引き締めて学習に取り組むことが求められます。
試験が難しいということは、専門性が高い資格ということの証明でもありますので、仕事内容も専門性の高いやりがいのある仕事と言えるでしょう。
残念ながら試験に落ちた場合でも、病院や施設によっては、非常勤の形で働きながら再度挑戦することも出来ますので、あきらめる必要はありません。
STの制度が導入されてまだ歴史は浅く、社会的にも認知度は高くはありません。
しかし近年嚥下の重要性が認識されるにつれ、病院のリハビリ部門だけでなく訪問看護事業所などでもニーズが出てきており、今後ますます需要が高まることが予想されます。
STは全体数が少ない分、リハビリ職の中で人数が不足しているともいわれ、医療にとどまらず福祉や教育の現場を中心にニーズも高まっており、就職先が見つからないということは無いでしょう。