外国人が日本に入国をする時には、ビザ(査証)が必要です。
また、日本に入国をして仕事をする時には必ず在留資格を受ける必要となっており、どういった場合に在留資格が認められるかについてはかなり細かく規定があります。
仕事をするための在留資格のことを「活動類型資格」と言いますが、これまでは外交や公用、教授や芸術、宗教といった分野で仕事をするときに認められていました。
そこで2017年から新たに加えられることになった項目に「介護」があります。
在留資格「介護」とは、介護福祉士の資格を有する外国人が、介護施設等との契約により全国にある施設で勤務をすることができるようにする規定です。
主な流れとして想定しているのはまず在留資格「留学」として入国をし、養成課程のある学校で介護福祉士となるための単位を取得し、国家試験を受験します。
そこで合格をしたあとに在留資格を「留学」から「介護」に変更をすることで、日本国内にある介護施設で仕事をしていくことができるようになります。
なぜ「介護」が加わることになったかというと、それはまず国内での介護に関する人材が決定的に不足しているということが理由です。
既に介護の現場においては慢性的な人手不足状況が発生していますが、今後平成37年までに約250万人が必要になることが予測されています。
これは2014年に策定された「日本再興戦略」の改訂版にも記載されていることであり、国内人材だけでなく海外からの人材が日本で活躍できる環境を整えるという流れも汲んでいます。
実際に国内で介護職に従事するための在留資格は、大きく4つに分かれます。
これは「永住者」「EPA」「技能実習生」「介護ビザ」となっており、今回の改正により「技能実習生」と「介護ビザ」の2つが追加されたのです。
これまでも外国人を介護人材として在留させるための制度としてEPAはあったものの、こちらはフィリピン・インドネシア・ベトナムの3カ国に限定されていた上に取得が難しいということから、ほとんど機能していなかったという問題がありました。
そこで新たに加わった「技能実習生」と「介護ビザ」は条件をかなりゆるく設定しており、企業にとっても低コストで受け入れることができるようになっています。
在留資格「介護」最大のメリットは、取得条件がゆるく国籍や年齢、在留年数に制限がないということです。
さらに在留期間中に婚姻した配偶者や生まれた子供にも「家族滞在」の資格が得られるようになっています。
一方デメリットとなるのが技能習得に失敗した場合は帰国が義務となっていることや、日本語の習熟度が低い人材では在留していくことができないことが挙げられます。