在宅介護支援センターは、自宅で生活している援護が必要な高齢者に対し、その家族からの相談を受けて、その内容に応じて保健・福祉のサービスを案内するという施設です。
現在すぐに介護が必要という場合でなくとも、今後介護が必要になるおそれのある家庭からの相談も受け付けています。
それぞれの地域にある福祉施設のサービスを案内して、余裕を持って準備ができるようにしているのです。
運営主体となっているのは市区町村などの行政機関で、管轄内の他の福祉施設やサービスを行う民間事業者と連携をとり、調整をしていくという役目もあります。
法律としては1989年(平成元年)に「高齢者保健福祉推進十か年戦略(ゴールドプラン)」が策定されたことにより、高齢者に対しての在宅福祉や施設福祉をするための相談施設として誕生しました。
高齢者やその家族が身近に専門的な知識を持った人に相談できるようにする、というのが設置の主旨となっており、全国に1万ヶ所以上設置を目標として予算が組まれています。
在宅介護支援センターにおいては、地域に生活をしている高齢者とその家族のための福祉向上を最大の目的とし、時代のニーズにあった相談対応をしていくこととされています。
相談を受けることにより、その地域で在宅介護を必要としている人たちの実態調査をすることにもつながります。
そこから関連機関とともに大きな介護のネットワークを作っていくということも行えるのです。
ただし、現在では施設・在宅にかかわらず「地域包括支援センター」として同様の業務が行われるようになっていることから、在宅介護支援センターはそのサブ的役割をする施設というふうに設置当初より目的が変更されました。
具体的に行われている相談業務として最も多いのは、住民からの相談を受けて介護や福祉サービスを紹介していく「総合相談支援業務」です。
その他にもう一つ成年後見制度を促進したり、高齢者への虐待への対応をするという「権利擁護」も重要な役割となっています。
要介護・要支援の認定を受けた人や、今後受ける可能性のある人に対しては、「介護予防ケアマネジメント」として現在行うことができる介護のための方法を案内するといったようなことも行います。
在宅介護支援センターは、今後は地域包括支援センターとして統合されることになることから、新たに施設が誕生するということはあまりないと考えられるでしょう。
現在運営されている在宅介護支援センターは法律の改正前に設置をされており、その地域の中で既に十分に役割が認知されている施設となっています。
介護をとりまく現状は日々刻々と変化をしており、福祉サービスもそれに応じて変化をしていくことが求められます。