高齢者人口が急激に増加している現代において、深刻な社会問題となっているのが「老老介護」です。
「老老介護」または「認認介護」とは、自分自身も介護が必要な状態になっている高齢者が、配偶者や家族など他の高齢者の介護をせざるを得ない状況におかれていることを指します。
より詳しい定義としては「老老介護」というのは65歳以上の高齢者を、同じく65歳以上の高齢者が介護をしている状態です。
ケースとしては夫または妻と二人暮らしで互いに介護が必要になっている場合や、介護のなり手のいない兄弟や親子関係で介護をするという場合などがあります。
2013年時点の厚生労働省の調査では、在宅介護をしている世帯のうち半数以上がこの「老老介護」状態になっていることが分かりました。
「老老介護」がさらに深刻になったものが「認認介護」で、これは要介護の中でも認知症を患っている相手を、同じく認知症である家族が介護をしていることを言います。
認知症にもいくつかの段階があり、軽度であれば日常生活を送ることもできるのですが、家庭内で事故を発症しやすい危険な状態であることは間違いありません。
老老介護状態が長く続くことで認認介護になったというケースも非常に多く、深刻になる前に支援がない場合は、共倒れのようになって孤独死をしてしまうようなこともあります。
「老老介護」を作り出す最大の要因は、なんと言っても高齢者人口の急増です。
日本は世界的に見て非常に長い寿命の国ですが、その一方で少子化が急速に進んできています。
同時に核家族化により子供世帯が独立を期に両親と別居をすることが当然になったということも、介護の担い手がなくなってしまう原因です。
そもそも日本においては「親の介護は嫁の役目」「他人にお金を払ってやってもらうのはかわいそう」といった先入観が根強く残っていることから、実際に支援が必要になっても本人たちが支援に消極的となっていることも問題なのです。
老老介護・認認介護を少しでも無くし解消していくためには、まず世間から孤立をすることを防ぐことが重要となります。
身近に相談ができる家族がいればよいのですが、地方では仕事を求めて子供や孫が都心部に引っ越してしまっていることもあり、なかなか難しいのが現状でしょう。
そのため、最も重要になってくるのが地域の介護相談を行う施設です。
まず現在どういった介護サービスが行われており、どのように利用をすることができるかということを知ってもらわなくてはいけません。
老老介護となる世帯では、実際に介護が必要となる前段階で、既に社会的に孤立してしまっているということがよくあります。
高齢者が参加できるような社会的な体制を作り、ネットワークを作ることが対策となるでしょう。