福祉や介護の業界は年々社会的なニーズが高まっている反面で、慢性的で解決の難しい問題点を複数抱えています。
ほぼ日常的に聞かれているのが業界全体での慢性的な人手不足です。
就職難と言われている現在であっても、介護や福祉の業界からは非常に数多くの求人が出されています。
それら求人に対しての成り手も多数いるにはいるのですが、それらのほとんどが就職をして1年~1年半のうちに退職をしてしまっているというのが実情です。
その他にも複数の問題点はあるのですが、中でも突出して深刻度が高いのがこの人材の定着に関する問題であると言えます。
福祉や介護の業界をとりまく問題は非常に数多くあるのですが、それらは全く別のこととして存在しているわけではありません。
問題がそれ単体で存在しているのであればそこだけを重点的に解決をはかっていけばよいのですが、福祉・介護の業界における問題ではそれぞれの問題が複雑に絡み合っており、何か1つだけを良くしてもそれは一時的な解決にしかならないのです。
それらの問題の根幹とされているのが、現在国策として行われている「介護保険制度」そのものの不備です。
現在介護や福祉に関わる業務の財源としては、40歳以上の国民に一律にかせられる介護保険があてられているのですが、これが実際の国庫負担と明らかにバランスがとれておらず、どんどん赤字が膨らんできているのです。
これは他の予算との兼ね合いや少子化といった、別の社会問題から改善がされていかなければ根本的な解決にはつながりません。
しかしいくら財源がないといっても、高齢者人口は待ったなしで増え続けてきていますから、何らかの対応をしていかなくてはいけません。
根本的な解決をすることは難しくても、まずはできることから対策をしていかなければ、近い将来本当に必要な福祉や介護が滞ることにもなっていってしまいます。
今後は福祉や介護の業界内だけの問題として隔離するのではなく、全く異なる他の業界とも連携した広い視野からの対策をとっていくことが大切になります。
高齢者に対しての福祉は、これまで長年に渡り私達の社会を支えてきてくれた人に対しての敬愛であるとともに、私達自身の将来にも係る重大な問題です。
一人ひとりがきちんと問題点を自覚をし、できることは何があるかということを考えて行動をとっていくことが求められます。
日本は諸外国に比べて福祉や介護の政策が遅れているとも言われています。
もちろん十分な福祉や介護のためには財源ありきなので、突然福祉・介護先進国並みの内容にしようとすれば急激な増税などをしなくてはならなくなります。
ですが、満足度の高い福祉・介護を行っている外国の政策を見てみることでそれらをどう応用していくかという参考にはしていくことは十分に可能です。