母子支援員とは、社会的に自立した生活を送ることが困難な状況におかれている母子に対し、その保護をするとともに生活上の支援をしていくための仕事です。
具体的には「母子生活支援施設(旧:母子寮)」に勤務をして、内部で生活をする母子に対して相談にのり、必要に応じて福祉施設から受けられる支援サービスを紹介していきます。
この「母子生活支援施設」というのは1947年(昭和22年)に初めて設置をされた公的施設であり、18歳未満の子供を育てる母親に対して生活の場を提供することが目的とされています。
もともとは当時戦時中であったことより、戦災で未亡人となった母子が路頭に迷うことがないようにと設置をされた施設だったのですが、時代が変遷したことにより受け入れる人の環境も大きく変わってきました。
現在では、離婚や死別によってシングルマザーとなってしまった人だけでなく、DVやその他経済的な事情により子育てが著しく困難になってしまった人も利用をしています。
母子生活支援施設に勤務をする母子支援員は、そうしたさまざまな事情により施設を利用することになった母子に対し、親身になって相談を受けつつ、どういった方法を行えば再び自立した社会生活を送ることができるかということを考えていくことが役割となります。
そのためには地域の他の福祉施設とも連携をして、福祉施設全体をつなぐネットワークを作っていくことも重要です。
母子生活支援施設を利用する人の内訳を見てみると、最も多いのは「DV」による被害にあったという人です。
夫などの暴力により自身と子供が生活できなくなったことから、頼る人がなく母子生活支援施設を訪れるという人が多く見られています。
その他にも児童虐待や入所前の家庭環境の不適切が原因で、入所直後は母子ともにかなり精神的に追い詰められた状態です。
そこで母子支援員は、かつてつらい仕打ちにあってきた母子の話を聞いて、安心して生活をすることができる施設であるということを示す必要があります。
一時的にでも生活の場が提供されることで、数ヶ月くらいで立ち直り自分で生活をしていくことができる人も多くいるのです。
そんな自立の手伝いをすることができるのが母子支援員の大きなやりがいでしょう。
母子自立支援員として働くためには、原則として母子または寡婦の相談業務に従事した経験が求められます。
未経験な場合は非常勤扱いとなりますが、過去に福祉施設などで相談業務を経験をした人を常勤として採用するよう法律で規定されています。
何らかの資格が必須というわけではなく職歴があれば十分となっていますが、常勤の場合は公務員扱いとなることから社会福祉主事や児童福祉司の任用資格を持っていると有利になるでしょう。