既に日本が超高齢化社会のまっただ中にあり、すぐにでも対応をしなくてはならない状況に置かれているということは広く知られていることです。
しかしながらそうした問題点はかなり以前から指摘され続けてきたにもかかわらず、対応をするための施策にはどれも今ひとつ決定打と呼べるようなものがなく、諸外国に比較してもかなり遅れた状況の中にいるというのが現状となっています。
日本は歴史的な文化や風習から年上の人間を敬うという精神があることもあり、介護や福祉といった高齢者に対する対策は手厚く行われるというイメージがありますが、実情は必ずしもそうと言い切れるものではありません。
そんな制度としての福祉政策の遅れの原因となっていることの1つとして挙げられるのが、現在切迫した状況にある医療保険制度や社会保険制度の財源不足です。
日本がかつて世界に誇る福祉政策として挙げていたのが「国民皆保険制度」という全ての国民の医療費負担を減らすという政策です。
皆保険制度がない国においては、医療費は民間の保険に加入していない限り全額自費で負担をしなくてはならないことになっており、そのためちょっとした怪我や病気で多額の金額を請求されることが当然となっています。
つまり保険に加入するほど日々の生活に余裕がない低所得者層の場合、怪我や病気になっても満足な医療を受けることができず、そのまま障害を残したり生命の危機にひんしてしまったりということになります。
日本においては国民皆保険制度があるので、保険証を提示すればそれだけで本人負担は2~3割にまで低くなるので、怪我や病気になっても気軽に受診をすることができます。
さらに言えば、なんと2008年までは75歳以上の高齢者の医療費は全て無料というやりすぎとも言える医療福祉政策が取られてきました。
そのため高齢者のほとんどはそれほどの病気や怪我でなくても無料ということで医療機関を受診しては、一日のうちに何件もはしごをするというようなことを繰り返しました。
しかし高齢者人口が急増したことで、そうした医療費負担は甚大なものとなり現在のような社会保障費の圧迫を生み出すことになってしまいました。
福祉政策は国民にとって耳障りのよいものではありますが、これは明らかに政治的な失敗であったと言えるでしょう。
社会保障費が既に国費だけで賄えなくなってしまったこともあり、いよいよ2014年からはその財源を補うためという名目で消費税が増税されることになりました。
消費税の増税は今後も段階的に引き上げられることが予定されており、一般の消費者へのしわ寄せはかなり厳しいものになっていくことでしょう。
さらに他の雇用保険や国民年金についても同様に決定的に財源が不足していることから、今後かなりの増加政策が行われることになることが予想されています。